なぜ建物が斜めに建っているのか
ピサの斜塔が着工したのは1173年。
イタリアの建築家であるボナンノ・ピサーノによって設計されました。
工事は順調に進んでいたのですが、3階まで建てたときに異変が起こります。
なんと建物自体が傾き始めてしまったのです。
その原因は地盤にあり、粘土と砂地という地耐力の弱い地盤が、建物を傾けてしまったのです。
当時は、今のような地盤調査の技術もありません。
やむを得ない事故でもあったのですが、中心軸をずらすことで工事は再開されました。
その後も途中何度も中断しながら、その都度、中心軸をずらして1350年に一応の竣工を迎えました。
しかし、やはり脆弱な地盤の上に建った塔です、不安定な地盤の影響で倒れそうで倒れないという状態に陥ってしまったのです。
ただ、放置することは危険このうえありません。
そこで1990年から11年の歳月をかけて、補強工事が開始されました。
コンクリートを使った地盤の補強工事、他にもワイヤーなどを使い、建物のバランスを確保して今日に至ったのです。
その甲斐あって、今では人数制限こそあるものの、上に登ることができるようになりました。
訪れる人が後を絶たないのは、この奇妙な建築物への興味も強いからでしょう。
このピサの斜塔ですが、世界遺産であるピサのドゥオモ広場を構成する建築物のひとつでもあります。
1987年に世界遺産登録されたのですが、ピサの斜塔を含めて4つの建築物があります。
当時の繁栄を象徴するピサ大聖堂の鐘楼
公式サイトによると、斜塔はピサ大聖堂の鐘楼(しょうろう)で、高さ58.36m、階段は273段あり、外径は15m、現在の傾きは約5.5度。
長い間、世界で一番傾いた建物ということでギネスブックにも掲載されていました。
残念ながら2010年の6月、アラブ首長国連邦にあるキャピタルゲートビルがその座を奪いましたが、こちらは人工的に傾けたもの。
ピサの斜塔は自然に傾いたものですから、ここにその価値は残っていますね。
ロマネスク建築で建てられた大理石の鐘楼(しょうろう)の一番下の部分には、ブラインド・アーケード(開口部のないアーチ)が並び、菱形の装飾が施されています。
そこから上にはドゥオモの後陣の装飾にならい、優美で繊細な細身の円柱が並ぶ回廊が6層取り巻いています。
塔の内側は直径7.7mの筒状の空洞となっており、重心ができるだけ内側にかかるように設計されています。
ピサの斜塔とガリレオ・ガリレイ
このピサの斜塔には、有名なガリレオの逸話が残されています。
物体が落下するときのスピードには、その重量は関係していないというものです。
彼は傾いたピサの斜塔の頂上から、大きさも重さも異なる2つの球を同時に落としたといいます。
その結果、どちらが早いということではなく、この物体は同時に地面に落ちたというエピソード。
この逸話自体の真偽のほどは様々ですが、謎めいた斜塔だけにこうしたエピソードが生まれてきたのかもしれませんね。
ピサの斜塔、観光のポイント
ピサの斜塔は、フィレンツェからバスで約30分のところにありますから、宿を予約するのであれば、フィレンツェのホテルがおすすめでしょう。
あまり土地勘のない場所で、離れたところに宿泊すると、それだけで負担が大きくなったりするものです。
フィレンツェ発のオプショナルツアーで予約をしておくと、送迎を含めて迷わずに確実に到着することが出来ます。
また、12世紀~14世紀の趣のある建物は、日本語でプロのガイドの説明があると何倍も楽しむことができますので、ガイド付きのツアーがおすすめです。
斜塔見学時の注意すべきポイント
さて、実際に登るときですが、一度に40人のグループだけが塔に上がれます。
係員による案内で約35分の見学時間となっており、8歳以下の子どもは入場出来ません。
また、12歳までの子どもは大人と手をつなぐことが義務とされ、18歳以下でも大人の同行が求められています。
チケット売り場では、どの時間帯に何人参加できるかスクリーン表示されているので、見学時にはそれを見ながら購入するそうですが、日本から行く場合には、事前に予約をしてからのほうが無難でしょう。
このチケット売り場ですが、斜塔の北側に位置しており納骨堂のとなりにあります。
逆三角形のマークが目印の黄色い建物です。
そしてその右隣には手荷物預り所があります。見学時には、カメラ類の持ち込みはできるのですがバッグの持ち込みは不可。
事前にクロークへ預けてから塔の見学にチャレンジしたいですね。
塔自体の階段はけっしてキツイものではないので、割とスムーズに最上階まで行けるはず。
そして、そこから赤い瓦屋根の街並みを見渡せば、それこそ最高の思い出になることは間違いありません。
もちろん、大聖堂や洗礼堂など、遺産群も見渡すことができるので、傾いた建物からなので少し不思議な平衡感覚で楽しめるのではないでしょうか。
世界遺産「フィレンツェ歴史地区」
かつてはローマ帝国が、その栄誉を欲しいままにしたイタリア。
数ある観光スポットがあるこの国には、まだまだたくさんの見どころがあるのです。
フィレンツェ中心部には世界遺産に登録された「フィレンツェ歴史地区」と呼ばれるエリアがあり、600年前に建てられたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂をはじめとし、サンタ・クローチェ教会、ピッティ宮殿、ウフィツィ美術館とまさに時代を超えた建造物に触れる事が出来ます。
日本から航空機で約14時間のイタリア・フィレンツェ。
かつて世界を制覇する目前までいった帝国のロマンを探しに行くことは、これからも多くの旅行者の憧れとなることでしょう。
お土産にオリーブオイルとワイン
お土産には「フィレンツェ産のオリーブオイル」や「トスカーナワイン」がおすすめです。
フィレンツェはトスカーナ州の州都で、質の良いものが手軽に安く手に入ります。
瓶はワレモノですが液体物ですので機内持ち込みができません。
そのためにも往きのスーツケースの半分には瓶が割れないようにパッキングする「エアパッキン(プチプチ)」やパッキングの最後にぐるぐると留めて手で切れる「マスキングテープ」、万一の液漏れに備え「大きいビニール袋」を入れて行くと良いでしょう。
包む順番は、瓶1本毎に、紙(現地で不用になった紙や広告など)→ビニール袋→エアパッキン→テープ留めの順がおすすめです。
あとは、スーツケースの中で動かないように他の荷物とパズルのように詰めるだけ。
帰国してからもイタリア・フィレンツェを楽しめるお土産です。
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