ラ・トマティーナってどんなお祭り?
トマト祭りの舞台は、スペイン東部・バレンシア州の、ブニョールという街。芸術と建築で知られる国際都市バルセロナからバレンシアまでは約350km離れていますが、そこからさらに50kmほど離れた、静かな田舎町です。
この街が一気に塗り替えられるのが、ラ・トマティーナ。大量のトマトを積んだトラックがやってきて、参加者にトマトを投げつけます。トマトを拾っては投げ返す様は、スペインのトマト祭りどころか「トマト戦争」とも言える激しさです。そのトマトの量は、なんと100トンにも及ぶとか。
ラ・トマティーナの始まりは1940年代中ごろと言われていますが、その起源ははっきりしていません。たまたま、野菜を売る屋台の前で喧嘩が始まり、店先にあったトマトを投げつけ合った、との説が有力のようです。
バレンシア州の州都、バレンシア
いつ行けば見られるの?
スペインではトマト祭りが年中実施されているわけではなく、毎年8月の最終水曜日にだけ行われます。
前夜祭ではイルミネーションや移動遊園地が街を彩り、夜を徹して騒ぐ人も少なくありません。前夜祭に足を運ぶ場合、祭に向けて体調を整えるためにも、開催の2日前の月曜日にはスペインに到着しておきたいところ。ブニョールは小さな街なので宿泊施設は少なく、観光拠点として便利なバルセロナのホテルやバレンシア周辺での宿泊も選択肢に入れておいてもいいでしょう。
ただし、トマト祭り期間中のバルセロナやバレンシアのホテルは高額の上に予約もすぐいっぱいになってしまうので、早めの予約をおすすめします。
お金はかかるの?
かつては無料で自由に出入りできましたが、2013年度から2万人限定の予約制となり、現在は1人10ユーロのチケット制になっています。事前にインターネットで購入したチケットをプリントアウトし、現地でリストバンドと引き換える仕組みです。
いつまでにどうやって予約しておけばいい?
スペインへの行き方については、日本からマドリッド(マドリード)行きの直行便やパリやローマなど経由のバルセロナ行きの便があり、特に大きな不便はありません。ところが、トマティーナのチケットは5月中に売り切れてしまうことも多く、サイトもスペイン語と英語のみのため、初心者が手配するのはなかなか難しいのが現状。
バルセロナ発やマドリッド発、バレンシア発のオプショナルツアーがありますので、バス移動込みのツアーを早めに申し込んでおく方法がもっとも確実です。
ただし、18歳以上でないと入場できないため、子供連れでの参加はできないので要注意。また、チケットは参加人数分を1度に手配しておかないと入場ゲートが分かれてしまうこともあります。8月はヨーロッパのバカンスシーズンにあたるため、ホテル同様思い立ったらスグに手配をしておきましょう。
からだ中トマトで真っ赤っか!トマト祭りの楽しみ方
スペインのトマト祭り・トマティーナではまず、朝9時~10時頃から石鹸を塗った長い棒の先に生ハム1本をくくりつけ、その棒を登ってハムを奪い合うという「パロ・ハボン(石鹸棒)」が行われます。石鹸が滑る上に棒も長く、放水による妨害もあるので誰も取れずに終わってしまうこともあるとか。
ひとしきり盛り上がりを見せた後、本番のトマト投げは11時頃~スタート!ブニョール役場による号砲とともにトマトを積んだトラックが登場し、トマトを投げ渡してくれます。ここから約1時間のトマトぶつけあいが始まります。トラックにあるトマトが少なくなると、荷台を傾けてトマトを街に豪快にぶちまけ、熱狂の渦の中にトマトの海が広がります。
参加する際は、トラックに充分気をつけましょう。また、全力で投げつけられるトマトは体に当たると思いのほか痛く、怪我につながります。トマトを投げるときは、そのまま投げないように!必ず軽くつぶしてから投げましょう。
女性も安心して楽しめる?
スペインのトマト祭りの最中は身動きが取れなくなるほど混雑することもあります。早めに到着して裏路地の付近を陣取り、人ごみに疲れたときや、怪しい男性などがいたときに避難できる場所を確保しておけば女性1人でも安心です。もちろん、祭りのど真ん中に飛び込むのも醍醐味!
祭りの勢いでほかの参加者の服を破る人も少なくないので、大切な服を着るのは絶対に避けておくべきです。もちろん、ご自身も他人の服を引っ張って破くことなど無いように。人に押されて歩いているうちに、いつの間にかTシャツどころかブラまで取れていた!なんてこともあるので、女性は下着ではなく捨ててもいいような水着で、洋服は色の濃いアイテムを着ておくとよいでしょう。
必須の持ち物は?
スペインのトマト祭りはトマトまみれになること必至のお祭りだけに、荷物の準備は重要です。現地に有料の預かり所がありますが、スリも多いので大金は持っていかないように。首から下げられる防水スマホケースの中に、荷物預かりの料金と電車賃程度のお金を入れておくと便利です。パスポートはコピーがあれば問題ありません。
服装は、男女ともにショートパンツや水着、Tシャツが基本。サンダルで行くと足を踏まれたり脱げてしまったりすることもあるので、汚れてもOKで脱げにくいスニーカーがベストです。トマトが目に沁みるので、ゴーグルもあるとよいでしょう。
写真撮影時の注意点は?
スペインのトマト祭りは、自撮り棒の持ち込み禁止。他人を傷つけることがないよう、瓶や固い物の持ち込みは禁じられています。SNS投稿用の撮影は、防水対策を行ったスマホ・カメラで。また、スマホやカメラは大変盗まれやすいので、貴重品の管理は各自でしっかりと行うようにしましょう。
美味しいグルメは楽しめる?
祭りが終わるのはちょうどお腹の空く昼の13時頃。スペインのトマト祭りで使われるトマトは、祭り専用に栽培されているため食べられず、トマトでお腹いっぱい! というわけにはいきません。疲れ切った体を、屋台のサンドイッチやパエリアで満たし、サングリアなどで余韻を楽しみましょう。
昼に軽食をつまんだら、夕食は宿近くのレストランでゆったりと。スペイン料理は日本人にとって量的にヘビーなものも多いので、1つ1つが少量で食べる量の調整がしやすいピンチョスのあるバルを利用するのもいいでしょう。
ついでに観光するならどこがいい?
トマト祭りだけじゃスペイン観光は物足りない! という人におすすめなのが、島全体が世界遺産となっているイビサ島です。「世界一の夕日」と称される夕焼けや、白い建物が続くダルト・ヴィラの街並み、世界的に有名なクラブでの「泡パーティ」も楽しめます。
イビサ島
バルセロナから毎日飛行機が発着しており、フライト時間は1時間弱。スペインのトマト祭りと合わせて楽しめば、情熱的なスペインを目一杯満喫できるはずです。
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