本場イタリアでオペラを鑑賞してみたい!

本場イタリアでオペラを鑑賞してみたい!

ミラノのスカラ座

この記事を書いたひと

井内美香(いのうちみか)さん
音楽ライター/オペラ・キュレーター
ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来日公演コーディネイトの仕事に携わる。2012年より東京在住。オペラの魅力を伝えるための記事やイベントで活躍中。

“美しいもの”が大好きなイタリア人

長年住んだイタリアで一つ確かなことは、イタリア人は美しいものが大好き!ということです。イタリアはどこに行っても風光明媚なお土地柄。彼らの美を好む性格はそこから来ているのかもしれません。美男美女が大好きですし、その他にも建築、インテリア、服や靴、バッグやアクセサリーなど、イタリア人の身の周りは美しいものであふれています。

ミラノのドゥオーモ

ファッションの街ミラノのシンボル、ドゥオーモ 写真提供:井内さん

イタリア人にとって世界の中心は自分自身。イタリア人の自己中心主義は、彼らの積極性にも結びついています。お金持ちは華やかに、そうでない人もそれなりに。彼らは皆、ストーリーの主人公として自分の人生を一生懸命生きているのです。「人生は短い。楽しまなくっちゃ!」−−−−。これはイタリア人がよく使うフレーズです。

オペラ鑑賞でもイタリア人は「自分が主役」

せっかくのイタリア旅行、現地でイタリア人の人生の楽しみ方を味わってみませんか? それにはひとつ、簡単な方法があります。それはオペラ鑑賞。イタリアの大きな都市にはかならずオペラ・ハウスがあり、さまざまな演目を上演しています。夏は劇場がクローズしますが、その代わりにヴェローナなどの夏のリゾート地で野外オペラの楽しみが待っています。

歌劇場は公演を観に行くところだと思っていませんか? もちろんそうなのですが、イタリア人がオペラに行く場合、劇場は公演を観ると同時に自分を見せる場所でもあるのです。劇場のロビーや客席はエレガントな美しさをたたえています。そこで輝くのは観客であるあなた自身。イタリアのオペラ・ハウスを舞台に物語の主人公を演じてみてください。

本場イタリアでオペラ02

© Regione Campania

チケットはどうやって買う? どんな演目がいい?

イタリアで最も有名な劇場はミラノの「スカラ座」です。名実共に世界最高峰のオペラ・ハウスであり、マリア・カラスなど、華麗なるオペラ歌手たちの名演がスカラ座の歴史を彩ってきました。

もう一つおすすめはヴェネツィアの「フェニーチェ歌劇場」。ヴェルディの『椿姫』が初演された劇場として有名です。

スカラ座やフェニーチェ歌劇場は18世紀に建設された馬蹄形の客席を今日に伝えており、一階は普通に座席が並んでいますが、上の方の階は4~5人が座る桟敷(ボックス)席になっています。昔は貴族がこれらの桟敷を不動産として所有していました。人々は毎晩のように劇場に出かけてお互いの桟敷を訪問しあったり、そこで食べたり飲んだりしながらオペラを鑑賞していたのです。

フェニーチェ歌劇場内

フェニーチェ歌劇場内は、本場ならではのゴージャスな雰囲気

フェニーチェ歌劇場、桟敷席

桟敷席の中は落ち着いた雰囲気

現在もこれらのオペラ・ハウスは現地の人々でにぎわっていますが、観光客にとっても人気のスポットになっています。オペラのためにイタリアに行くような熱心なファンは、インターネットで現地のチケットを入手してから旅行を企画することもあります。でもまずは、文化に触れる各種ツアーが企画されているので、オプショナルツアーとしてイタリアでのオペラ鑑賞がある旅行を選んでみてはいかがでしょうか。

イタリアでオペラ鑑賞するときの服装は?

オペラ鑑賞するときの服装

劇場にはどんなおしゃれをしていけばいいでしょうか? 一番のおすすめは、シンプルかつエレガントな服装です。シーズンオープニングのガラ公演でもないかぎり、イタリアではロングドレスやタキシードのお客さんは見かけません。

でも皆、自分が主人公だと思っているのでおしゃれはばっちりしています。女性の場合、高級ホテルでのディナーのような服装、つまりシルクや光る素材が使われた服が夜の照明に映えて素敵です。色は自信がなければ黒を基調に。パールやストーンがついた小さいパーティーバッグ、靴はほっそりしたヒールの靴がよく似合います。これらの服装は、昼の歩きやすい服とは別に持って行かなくてはなりませんが、ワンセット持っていてもそれほどかさばりません。バッグなどの小物は素敵なものがイタリアで簡単に見つかるので、現地調達するのも案外楽しいですよ。

男性の場合は、ダークスーツにネクタイが理想ですが、それが無理でもジャケットがあれば大丈夫。男女ともに大事なのは昼のTシャツ、ポロシャツ、チェックのシャツやスニーカーなどを避けることです。

オペラの舞台

© Regione Campania

イタリアでのオペラ鑑賞は時間に余裕をもって

イタリアのオペラ3

© Fondazione Festival Pucciniano

鑑賞のためのポイントをいくつか。もし出来れば出発前に、観る予定のオペラの予習をしておきましょう。最近はインターネットで調べると物語のあらすじくらいは分かりますし、登場人物やストーリーを知っているだけで随分違います。

また大事なのは、オペラを観る日はハードなスケジュールを組まないこと。当日の昼間は、半日観光してゆっくりお昼を食べて午後はホテルの部屋で休む、くらいのペースが理想です。一日がもったいない!と思うかも知れませんが、分からない外国語のオペラで時差もありますから、始まった途端に爆睡、となってしまったらそれこそもったいない!ですから。

おしゃれして劇場に行き、シャンパンかエスプレッソなどを楽しみ、美しいロビーや客席で自撮りをぜひ。一人旅の方も、どんどん現地の人に頼んでシャッターを押してもらいましょう。喜んで撮ってくれるはずです!

では肝心のオペラですが、イタリアのオペラはどこを鑑賞すればいいのでしょうか?

ここで冒頭の一節を思い出して頂きましょう。イタリア人にとってもっとも大事なのは「美の追求」。総合芸術であるオペラにはさまざまな美が集結しているはず。感性を研ぎすませてその美しさを鑑賞してください。舞台美術や衣裳の美しさ、声やオーケストラの音色の美しさ……ストーリーを追うことも大切ですが、オペラの場合はこのように感覚で味わう部分がとても重要です。

食事も観劇の楽しみのひとつ

終演後の食事

写真提供:井内さん

イタリアはオペラの開演時間が遅いので、公演が終わったらもう夜もふけて遅くなります。終演後に開いているレストランかピッツェリアが劇場の周りにいくつかあるはずですので、事前にホテルなどで聞いて予約をしておきましょう。

最近はイタリアでもワインと軽食だけですませられるワインバーが増えているので、昼食をしっかりとって、夜はオペラについておしゃべりしながらワインをかたむけるのも素敵です。もう一つチェックしてほしいのはホテルへの帰り道の確認です。イタリアはホテルまで夜一人で帰っても安全なのは街の中心部だけ。ヨーロッパに慣れている人以外はオプショナルツアーに参加するなど、くれぐれも安全に留意しながら旅行を楽しんで下さい。

※掲載画像にはイメージ画像が含まれています。

●ミラノ「スカラ座」

住所 Via Filodrammatici 2, 20121 Milano
Italy

●ヴェネツィア「フェニーチェ歌劇場」

住所 San Marco 4387, 30124 Venezia
Italy

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投稿日:2017.05.15

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