海外旅行において国際空港で必要となる出入国審査。
機内で配られる出入国書類(EDカードなど)を記入した経験もあると思います。
しかし、ここ最近「あれ?機内で書類が配られなかった」ということも少なくありません。
この記事では、意外とペーパーレス化・DX化が進んでいる各国の出入国審査の最新情報をご紹介します。
従来の出入国審査
【日本での出国審査】
まずは、日本の国際空港からの出国ですが、日本国籍の方はパスポートと搭乗券のみを提示します。
パスポートの写真と顔を照合され、出国スタンプが押されて審査は終了です。
特にそれ以外の書類や事前手続きはありません。
基本的には、1人ずつの審査になりますが、小さな子供を連れている場合などは、一緒に審査を受けることができます。
「自動化ゲート」や「顔認証ゲート」で出国審査を受けることも可能
大型連休や、夏休み、年末年始などの時期には、出国審査も混雑します。
混雑緩和のために自動化ゲートや顔認証ゲートが導入されている空港もあります。
自動化ゲートとは、パスポートと指紋の照合により本人確認を行い、自動的に出入国手続きを行うことができるシステムです。
顔認証ゲートは、IC旅券のICチップ内の顔の画像と、顔認証ゲートのカメラで撮影した顔の画像を照合して本人確認を行います。
いずれも、入国審査官から旅券に証印(スタンプ)を受ける必要がなく出張などで海外渡航が多い方にはパスポートの査証欄ページの節約になりますよ。
スタンプ(証印)を希望する場合は、自動化ゲートの通過時に職員に申し出れば、 スタンプ(証印)を押してもらうことができます。
※12歳ぐらいまでの子供については、指紋が十分に安定しておらず指紋の登録ができないため、自動化ゲートでの認証ができない場合があります。
【海外での入国審査】
入国審査とは渡航先へ入国する際にパスポートやビザ(または各種ビザ免除プログラム)から、入国者の身元や渡航目的を審査する手続きのことで、過去の渡航歴などを確認する場合もあります。
入国審査に必要なものは
- パスポート(旅券)
- 搭乗券(ボーディングパス・チケット)
- 出入国カード(EDカード)※不要な場合・国もあります。
出入国カード(EDカード)は多くの場合には、到着まであとわずかとなったタイミングなどで客室乗務員から配布されます。
配布されなかった場合でも、空港の入国審査の手前にカウンターやデスクがあり、そちらに用意されています。
これらを準備して、列に並びましょう。
パスポートを提示し、本人確認
パスポートを提示することで入国審査官は、本人かどうかを審査しています。
国や地域によっては、出入国カードや査証(ビザ)などが必要な場合があり、併せて提示が必要です。
また、これも国や空港により異なりますが、指紋や顔写真など個人識別情報からの確認や、パスポートのIC情報から過去の入国記録などを確認し入国許可をするかどうかを審査します。
質問タイム
入国審査官から滞在期間や滞在予定地、帰国日などについての質問を受け、その内容に応じて回答します。
回答内容によっては、それに関連する質問をさらに受けることもあります。
質問内容はある程度決まっていますので、どのような質問がされるかを把握しておけば安心です。
国によっては、質問もなく終わるケースも多々あります。
空港に到着後の入国審査については、当日の混雑具合によっても異なりますが、自分の番になり審査台へ進んでから完了するまでの所要時間は10分前後が標準的です。
巨大空港で常に混雑している場合や、審査官の人数が少なく開いているレーンが極わずかに限られる場合には、30分以上列に並ばなければならないことも。
ペーパーレス化が進む出入国書類
従来の入国審査のついて、大まかな流れを紹介しましたが、もちろん現在もこの方式を採っているところは多数あります。
しかし昨今ではオンライン化やDX化によって、世界的な流れでもある非接触化の推進により、出入国審査のペーパーレス化が進んでいます。
事前にPCやスマホを利用して専用サイトにアクセスし、必要事項を入力しておくことで、当日は承認完了時に表示される「二次元コード」を読み取りセンサーにかざすだけで入国審査が完了!
駅の自動改札の様なシステムの為、レーンごとの審査官を必要としません。
レーンを多数設置でき、大人数が同時に利用可能となることで審査待ちの行列が発生することも少なく、まさに「秒で入国できる」ように変化しています!
従来の方法とは比較にならないほど、タイムパフォーマンス(タイパ)に優れています。
また、専用サイトでの事前登録は入国の数日前(72時間前~など)から、日本国内でも手続き可能な為、インターネットやWEBに不慣れな方でも、自宅などで落ち着いてゆっくりと手続きできるのも大きな利点と言えます。
出入国書類等がペーパーレス化・オンライン化されたおもな国や地域
アジア
紙のEDカードからオンライン申請に完全に切り替わっている国の場合(シンガポールやフィリピンなど)、機内でも空港内でも紙のEDカードの配布はありません。
もし、事前登録をしていなかった場合には、空港ターミナル内は無料Wi-Fiが利用できるのでご自身のスマホから、その場で上記専用サイトで登録を行います。
当日登録用にタブレット端末を用意したカウンターもありますが、台数が限られている為に順番待ちで行列する場合もあります。
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード | 電子渡航許可(K-ETA)を申請した場合は、EDカード(紙)の記入提出は不要です。 | 【K-ETA 大韓民国政府公式ウェブサイト】 |
※韓国の電子渡航認証(K-ETA)は、日本国籍を含めた対象国籍者に対して、2025年12月31日まで事前取得が免除となっています。
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード | 紙のEDカード(入境登記表)も使用できます。 | 【中華民国内政部移民署】 |
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード | 電子入国カード(SG Arrival Card)の提出が必要です。 (シンガポール到着の3日前を切ってから手続き可能) |
【Singapore Arrival Card】 |
※当日登録用にタブレット端末を用意したカウンターもありますが、台数が限られている為に順番待ちで行列する場合もあります。
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード | デジタル入国カード(Malaysia Digital Arrival Card)の提出が必要です。 (マレーシア到着の3日前を切ってから手続き可能) |
【Malaysia Digital Arrival Card – MDAC】 |
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード・税関申告書 | 航空機への搭乗前に「eTravel」に登録する必要です。 登録後に出力されたQRコードを保存または印刷の上、航空機への搭乗前やフィリピン到着時に提示する必要があります。 (フィリピン到着の3日(または72時間)前を切ってから手続き可能) |
【Philippine Travel Information System(eTravel)】 |
※当日登録用にタブレット端末を用意したカウンターもありますが、台数が限られている為に順番待ちで行列する場合もあります。
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
税関申告書 | 出発の2日前から当日までに電子税関申告書(eCD)で登録の上、QRコードの提示が必要です。 | 【Indonesian Customs Declaration】 | |
健康状態等の申告 | 出発空港にてSATUSEHAT Health Passの電子自己申告フォームに記入し、到着時の空港でQRコードを提示します。 | 【SATUSEHAT Health Pass】 |
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード・税関申告書 | 入国管理・税関および検疫に係る手続き「Cambodia e-Arrival Card」の登録が必要です。 (カンボジア到着の7日前を切ってから手続き可能) |
【Cambodia e-Arrival】 |
オンライン化された手続き | 詳細 | 専用サイト (外部サイト) |
|
EDカード | スリランカ入国の1週間前より登録可能です。 | 【Digital Arrival & Departure Portal】 |
北米
アメリカ合衆国へ観光目的等でVISA免除プログラムにて入国する場合には、出発の72時間前までに電子渡航認証(ESTA)の登録(有料)が必要です。
また、カナダに空路で入国する旅行者は、電子渡航認証システム(eTA)の登録(有料)が必要です。
これら電子渡航認証の導入や、ICチップ付パスポートの普及により、入国手続きのオンライン化・簡略化が進みました。
オンライン化された手続き | 詳細 | |
税関申告書 | 入国審査場のAPC端末で申告可能 |
※紙の入国カード(I-94/94W)は廃止、イミグレーションの手前に設置してある自動入国審査端末(APC KIOSK)で登録。
ハワイ・ホノルルやロサンゼルスなど「簡易到着プログラム(Simplified Arrival Program)」を導入している空港では、APC KIOSKでの登録や税関申告書の提出も不要です。
オンライン化された手続き | 詳細 | |
税関申告書 | 入国審査場にkiosk端末またはeGateが設置されていない場合や、これらを利用できなかった場合には紙の申告書が必要です。 |
ヨーロッパ
アイルランドや一部東欧諸国を除いて、シェンゲン協定加盟国を中心にEDカード自体が不要となっている国がほとんどです。
※記載した内容は予告なく変更・更新される場合がありますので、最新情報は各国の公式サイトよりご確認ください。
日本帰国時の手続きもオンライン化!
日本においても、下記の主要国際空港にて帰国時の入国手続きや税関手続きがオンライン化によってペーパーレスになっています。
2021年12月より運用開始した「Visit Japan Web」では、従来の「出入国記録(※日本国籍者は2001年7月に廃止済)」及び「携帯品・別送品申告書(税関申告書)」の作成と提出を、オンライン上で生成される2次元コード(QRコード)によって行えます。
2022年11月からはそれまでの検疫に関する「MySOSアプリ」に代わり、「Visit Japan Web」で検疫(ファストトラック)手続きも行えるようになりました。
さらに「税関申告アプリ」の機能も統合され、2024年1月25日からはVisit Japan Webにおいて入国審査と税関申告の二次元コードが統一。
Visit Japan Webひとつで、CIQ(税関・出入国管理・検疫)に関する手続きがワンストップで行えるようになり、手続きに要する時間を大幅に短縮することが可能となりました。
※従来通りの「携帯品・別送品申告書」(黄色い縦長の紙)もこれまで通り、利用できます。
②アカウントの登録が必要なので、旅行出発前に作成しておくことをおすすめします。
③登録はPCからも可能ですが、帰国時はスマホ利用となるので、スマホにもブックマーク(お気に入り登録)しておくと便利です。
④帰国当日にログイン用のメールアドレス・パスワードがわからなくならない様にしっかりと管理を!
(パスワードは英大文字+英小文字+数字+記号を組み合わせた10文字以上で設定)
まとめ
デジタル化(DX推進)によって、手続き方法の変化、ペーパーレス化が進んだ出入国審査に関する最新の情報をまとめました。
ここ数年海外旅行へ行っていなかった方にとっては「知らなかった!」との驚きもあったのでは?
当日の手続きについて予備知識や事前準備があれば、不安や疑問は軽減され、楽しく快適な旅行にもつながります。
また、時間に余裕をもって行動すればトラブルが発生した時にも慌てずに対応ができます。
さぁ!渡航に関する最新情報をアップデートして、楽しい海外旅行へ出掛けましょう。
▼年末年始&冬休み旅行特集はこちら
▼海外旅行をお探しの方はこちら