国際線の航空券を購入する際、同じ目的地に行くのに2つの選択肢があります。
ひとつは直行便で行く方法、もうひとつは1回以上の乗り継ぎで行く方法です。
目的地によっては日本から直行便が飛んでおらず、否応なしに乗り継ぎになることもあります。
直行便が就航している都市なら乗り継ぎの空港で待つ時間も必要なく、疲れず、早く到着できるなど、多くのメリットがあります。
しかし直行便は航空券価格が高い場合も少なくありません。
そこで、発想を転換して「乗り継ぎ便」をうまく利用し、とてもお得で、乗り継ぎ便だからできる旅を楽しむのはいかがでしょうか。
とは言え、海外の空港で「もし乗り継ぎに失敗したら?」「そもそも乗り継ぎってどうするの?」「預けた荷物はどうなるの?」など不安に思うことも。
この記事では飛行機の乗り継ぎの不安や注意点、乗り継ぎだからこそ楽しめる方法をご紹介します。
直行便と乗り継ぎ便、所要時間はどれぐらい違う?
具体的な一例を見るために、東京~パリ間をエールフランス直行便と、ターキッシュエアラインズ(トルコ航空)でイスタンブール乗り継ぎで行く場合で、所要時間を比較してみました。
直行便 | 乗り継ぎ便 | |
---|---|---|
航空会社 | エールフランス | ターキッシュエアラインズ(トルコ航空) (イスタンブール乗り継ぎ) |
所要時間 (往路) |
約14時間50分 | 約18時間40分 |
所要時間 (復路) |
約13時間50分 | 約16時間30分 |
※上記時間は、2024年2月時点の情報です。
※上記時間は一例です。乗り継ぎする便や曜日などによって所要時間は異なります。
直行便のエールフランスと、乗り継ぎ便のターキッシュエアラインズの目的地=パリまでの所要時間を比べてみると、往路では約4時間、復路では約3時間の差です。
もちろん、乗り継ぎ便の方が所要時間はかかりますが、航空券代金では乗り継ぎ便の方が安いことも。
さらに乗り継ぎ便のメリットは「安さ」ばかりではありません!
例えば、目的地のパリだけでなく、乗り継ぎのイスタンブールで観光を楽しめたりと、乗り継ぎすることで2か国の旅を楽しむこともできます。
ここから乗り継ぎの方法や、乗り継ぎの不安と解決方法を見てみましょう。
国際線 乗り継ぎの用語をチェック!
一言で「乗り継ぎ」と言っても、国際線ではトランスファーやストップオーバーなど種類があるのはご存知でしょうか?
このように乗り継ぎで使われる用語がいくつかあり、同じ意味で使用されていることがありますが、実は違いがあります。
それぞれの用語を解説!
1、【トランジット】
「一時寄港」を意味します。
経由および燃料や機内食の補給、機内の清掃などのために途中空港に一時的に立ち寄り、また同じ飛行機で目的地に向かいます。
そのため、途中の経由空港での滞在時間は30分~1時間半程度。
乗客は機内でそのまま待機する場合と、清掃などの場合には一旦降機して空港のトランジットエリアで待機する場合もあります。
2、【トランスファー】
「飛行機を乗り換える」ことを意味します。
乗り継ぎ空港で別の飛行機に乗り換えて目的地を目指します。
乗り継ぎの空港でターミナルの移動や、航空会社が変わる場合は荷物の預け直しが必要になったり、搭乗手続きが必要になる場合もあります。
乗り継ぎ時間が長く空くようであれば、入国審査を受けて観光できる場合もあります。
3、【ストップオーバー・途中降機(24時間以上)】
トランスファーと似ていますが、乗り継ぎを同じ日に行わず、翌日以降の便を利用するケースです。
このように、乗り換え地で24時間以上滞在することをストップオーバー(途中降機)といいます。
乗り継ぎ時間が24時間以上あると、乗り継ぎ地の観光もたっぷりと楽しむことができます。
なお、ストップオーバーは無料でできる航空券もあれば追加料金がかかるケースもあり、航空券の購入時に確認が必要です。
最初に預けた荷物は最終目的地まで取り出せない事もあります。
航空会社によっては搭乗手続きの際に申し出ておくことで、経由地での荷物の取り出しが可能になることもあるので、出発前に確認しましょう。
乗り継ぎの不安①乗り継ぎに必要な時間は?
乗り継ぎ便でまず心配になるのは乗り継ぎにどれくらいの時間が必要か?という点ではないでしょうか。
乗り継ぎ空港で荷物を預け直したり、乗り継ぎ便の搭乗手続きが必要な場合もあり、乗り継ぎ時間に余裕がないと出発に間に合わないこともあります。
ターミナルが複数ある空港ではターミナル間を移動するだけでも時間がかかってしまいます。
【では国際線の乗り継ぎ時間はどれくらいを見ておけば安心でしょうか?】
乗り継ぎには「最低乗継時間(MCT:ミニマムコネクティングタイム)」が各空港、航空会社ごとに定められています。
さらに利用するフライトによっても異なってくるので、各自の行程ごとに確認が必要です。
そのため予約時に自分の利用する航空会社と乗り継ぎ空港のMCTを満たしているかを必ず確認しましょう。
同じ航空会社で目的地まで行く場合、航空会社が定めているMCTを満たしているのに遅延など航空会社の都合で次の便に乗り遅れてしまった際は、振替便を用意してくれることがほとんどです。
万が一、MCTを満たしておらず乗り継ぎ便に間に合わなかった場合、振替便の用意をしてもらえないこともあります。
また、最低乗り継ぎ時間はあくまで最短時間です。
飛行機の遅延は珍しいことではありません。
また、乗り継ぎに慣れていなかったり、出発地~乗り継ぎ空港・乗り継ぎ空港~最終目的地まで異なる航空会社を利用する場合は、荷物の預け直しや搭乗手続きが必要になることもあるため、最低乗り継ぎ時間よりも大幅に時間に余裕のあるフライトを選択しましょう。
乗り継ぎの不安②乗り継ぎでもビザが必要?
乗り継ぎの際、トランジットビザが必要かどうかも重要です。
「トランジットビザ=通過査証」の意味で、目的地ではなく、乗り継ぎ地のビザです。
乗り継ぎ地から目的地までの搭乗手続きや荷物の預け直しの為に乗り継ぎ地で入国審査を受ける場合に、ビザが必要な国があります。
乗り継ぎ時間がかなり空いていて、入国審査を受けて観光する場合も同様です。
事前に乗り継ぎ地の大使館の情報を確認しましょう。
また、乗り継ぎ地で入国せず、空港内で待機する場合でも、一定時間以上(例:12時間以上など)乗り継ぎ時間が空く際はトランジットビザが必要な国もあるので注意が必要です。
乗り継ぎのために通過するだけでもビザが必要な国もあります。(例:アメリカを経由して第三国へ行く際ESTAの取得が必要です。)
※国籍によってビザの条件は変わります。
乗り継ぎの不安③搭乗手続きはどこまでできる?
飛行機に搭乗する際、搭乗券はフライトごとに必要です。
直行便の場合搭乗券は一枚、乗り継ぎ便の場合は、乗り継ぐフライトごとに必要です。
羽田→イスタンブール間で搭乗券1枚、イスタンブール→パリ間で1枚 計2枚
そのため乗り継ぎ便の場合は、出発地のチェックイン時に「乗り継ぎ便の搭乗券を出発地の空港か、それとも乗り継ぎ空港で受け取るのか」を確認しましょう。
目的地まで全て同じ航空会社を利用する際は、通常最初の出発空港でまとめて受け取ることができます。
異なる航空会社の場合は、乗り継ぎカウンターでの受け取りや、一旦入国して再度搭乗手続きをしなければならないこともあるので、注意が必要です。
乗り継ぎの不安④預け荷物は目的地まで運んでくれる?
搭乗券の発券と共に確認が必要なのが荷物の預け直しについてです。
乗り継ぎ便の搭乗券も最初の出発地で発券してもらえる場合、乗り継ぎ空港で荷物の預け直しは不要で、最終目的地まで運ばれるケースがほとんどです。
ただし、乗り継ぎ便を異なる航空会社で予約した場合などは乗り継ぎ地で入国審査を受け、一旦荷物を受け取り、再度搭乗手続きをして預け直す必要があります。
また、日本からアメリカの国内線に乗り継ぐ際は、同じ航空会社でもまず最初に到着したアメリカの空港で入国審査を行って受託手荷物を受け取り、その後アメリカの国内線で再度預け直しが必要です。
ちなみにアメリカを経由して第三国への国際線に乗り継ぐ際も、通常は入国と受託手荷物の預け直しが必要です。
搭乗券同様、国や航空会社、航空券の種類によって荷物の預け方は異なるので、必ず最初の出発時に確認しましょう。
乗り継ぎの不安⑤乗り継ぎ便の搭乗口の確認
乗り継ぎの空港に到着したら、次に乗る便の搭乗口がどこかを確認しましょう。
乗り継ぎ便の搭乗券を最初の出発空港で受け取っている際、そこに搭乗口が書かれていることもありますが、急遽変更になっていることもよくあります。
乗り継ぎ空港に着いたら、最新情報を搭乗ボード(掲示板)で確認しておきましょう。
乗り継ぎの不安⑥乗り継ぎ時間が長い場合の過ごし方は?
乗り継ぎ時間に余裕があった方が安心ですが、接続するフライトによってはかなり余裕がある場合も。
そんな時のおすすめの過ごし方をご紹介します。
空港内のトランジットエリアで過ごす
トランジットエリアに免税店やレストランなどがあり、ショッピングや、食事を楽しみながら待ち時間を過ごせる空港もあります。
免税店ではお得にショッピングができたり、日本では販売されていない商品を購入できることも。
また、ローカルグルメからミシュラン星付きレストランがある空港もあり、世界のグルメを堪能できるのも楽しみの一つ。
そのほかにもシャワーや仮眠エリアが用意された空港など設備は様々です。
但し、空港によって設備は大きな差があり、時間を持て余してしまうことも。
念のため本などを荷物に入れておくのもおすすめです。
入国して観光する
待ち時間がかなり空く場合、乗り継ぎ地で一旦入国して観光を楽しむのおすすめです。
その際は入国審査を受けることで可能です。
但し、預け荷物は最終目的地まで運ばれるので、機内持ち込み荷物だけで観光へ出かけることになります。
入国の有無にかかわらず乗り継ぎ時間が長い場合は機内持ち込みの荷物準備も入念に行いましょう。
交通の便が良くなく、空港~観光スポットへの移動に時間がかかってしまい、観光時間はわずかだったということも。
空港に戻ったら再度出国審査や手荷物検査などの手続きが必要です。
個人で観光に出かける際は時間配分に十分注意が必要です。
空港や航空会社が主催しているトランジットツアーもあります。
どこの空港でも行われているわけではありませんが、慣れない方はこういったツアーに参加するのもおすすめです。
トランジットツアーが行われている空港・航空会社の一例をご紹介!
■シンガポール
シンガポール航空が主催している無料観光ツアー。
【対象者】
・チャンギ空港での乗り継ぎ時間が5時間30分以上24時間未満の全ての旅行者が対象。
【申し込み方法】
・シンガポール航空とスクート利用の乗客はオンラインで事前に申し込み可能。
・当日空港にて、ツアー催行時間の1時間前まで申し込み可能。
・ツアーの空き状況は先着順の為、ツアーの定員数によっては参加できない場合もあります。
【ツアー内容】
4つのコースがあり、いずれも所要時間は約2時間30分。ツアーは英語での案内となります。
・チャンギ地区ツアー
・市内観光ツアー
・ジュエル・ウォーキング・ツアー
・ヘリテージツアー
詳細はこちら▶【フリーシンガポールツアー】(外部サイト)
■イスタンブール
ターキッシュエアラインズ(トルコ航空)が主催している無料観光ツアー。
【対象者】
・イスタンブール経由のフライトを利用する国際線乗り継ぎの旅行者かつ、到着・出発便共にターキッシュエアラインズであること。
※ターキッシュ エアラインズ便名のコードシェア便も可能。
・イスタンブール空港での乗り継ぎ時間が6時間以上24時間未満であること。
【申し込み方法】
・事前予約不要
・ツアー開始の30分前迄に、国際線到着ロビーのTouristanbule(ツアーイスタンブール)デスクに集合。
【ツアー内容】
観光ツアーや半日ツアー・終日ツアー、ボスポラス海峡ツアーなど時間別に8つのコースが設定。ツアーは英語での案内となります。
(※コースにより開始時間、所要時間は異なります。)
一例:半日ツアー 午前8:30スタート(所要時間6時間30分)
ブルーモスクやトプカプ宮殿、ヒッポドローム: ドイツの泉などの観光スポットを巡り、朝食・昼食付。
詳細はこちら▶HIS【ターキッシュ エアラインズ(turkish)】特集
乗り継ぎ地に滞在して観光を楽しむ
上記の「入国して観光を楽しむ」でご案内したのは空き時間を利用した24時間未満の一時滞在でしたが、ストップオーバーで現地のホテルに宿泊してゆったり観光を楽しむ方法もおすすめです。
立ち寄りたい国や都市があれば、あえて直行便を使わず経由することで、経由地を満喫することができます!
ターキッシュエアラインズでは、イスタンブールにストップオーバーした場合のお得なプログラムが用意されています。
■イスタンブール滞在(ターキッシュエアラインズ利用)
・イスタンブール経由のフライトを利用する国際線乗り継ぎの旅行者かつ、到着・出発便共にターキッシュエアラインズであること。
・日本(羽田/成田)ーイスタンブール間は直行便利用。
・イスタンブールで20時間以上滞在すること。
・トランジットツアー【Touristanbul:ツアーイスタンブール】との併用は不可。
【プラン内容】
・エコノミークラスの座席利用:4つ星ホテル 1泊提供
・ビジネスクラスの座席利用:5つ星ホテル 最大2泊提供(1泊だけの利用も可能です。但し、1泊ずつホテルを分泊することはできません。)
※宿泊ホテルの選択はできません。
【申し込み方法】
・最初のフライトの3営業日前まで申し込み可能。(ホテルの空室状況などもある為、余裕を持って早目のお申込みをおすすめします。)
・ターキッシュエアラインズのホームページに記載のメールアドレスに搭乗者の姓名、予約番号(PNR)と航空券番号、ご希望の宿泊日、ご希望の部屋タイプ、電話番号、メールアドレスの情報を記載して送信。(出発する国によってメールアドレスが異なります。)
または、ターキッシュエアラインズのホームページのストップオーバープラン申し込み案内に、予約番号(PNR)または航空券番号と搭乗者の姓名を入力して申し込み。
詳細はターキッシュエアラインズの公式ホームページでご確認ください。
▶ターキッシュエアラインズ【イスタンブールでの Stopover】(外部サイト)
▼ストップオーバーなど周遊航空券をお探しの方はこちら
乗り継ぎの不安⑦乗り継ぎに失敗したら?
大幅な遅延や欠航など思わぬトラブルで乗り継ぎができないケースもあります。
出発便と乗り継ぎ便が同じ航空会社で、遅延など航空会社によるものであれば代替便を用意してくれたり、もし同日に乗り継ぎできない場合はホテルの手配を行ってくれるなど何らかの補償が受けられることがあります。
乗り継ぎできなかった際は航空会社のスタッフや、空港カウンターに確認しましょう。
但し、LCCの利用や、出発便と乗り継ぎ便で別々の航空会社の場合、たとえ乗り遅れの要因が航空会社によるものであったとしても補償や払い戻しがないことがほとんどです。
そのため、乗り継ぎ時間に十分余裕をもって予約すること、遅延や欠航の際の乗り遅れが発生した場合の予約した航空会社の対応方法を事前に確認しておきましょう。
国際線の乗り継ぎ方法
最後にケース別の国際線の乗り継ぎ方法をご案内。
乗り継ぎ空港で入国不要のケース
荷物の預け直しが不要、乗り継ぎ地で乗り継ぎ便の搭乗券の受け取りが不要の場合、乗り継ぎのみで入国は不要です。
■乗り継ぎ空港に到着。
↓
■飛行機を降りたら「Transfer」あるいは「Connecting Flight」と表示された方向へ。
どちらも「乗り継ぎ」を意味します。
必ず案内表示を確認しながら進みましょう。
↓
■乗り継ぎの方に進み、「Security Check」と表示された手荷物検査場へ。
↓
■手荷物検査を受けて搭乗口の方へ。
あとは出発時刻まで乗り継ぎ便の待合スペースで待つのみです。
時間があればトランジットエリア内で食事をしたり、ショッピングなど思い思いの時間を過ごせます。
乗り継ぎ地で入国するケース
荷物の預け直しが必要な場合や、乗り継ぎ便の搭乗券を受け取る(発券する)必要がある場合は、乗り継ぎ空港で一度入国しなければなりません。
■乗り継ぎ空港に到着。
↓
■飛行機を降りたら「Arrival(到着)」または「Immigration/Passport Control(入国審査)」の案内表示の方へ。入国審査を行います。
↓
■「Baggage Claim(荷物受取)」で荷物の受け取り。到着出口へ。
乗り継ぎ便の航空会社のチェックインカウンターへ向かい、搭乗手続きや荷物を預ける手続きを行ってください。
空港にもよりますが、乗り継ぎ便のチェックインカウンターは別のターミナルの可能性もあります。
そうすることで時間の勘違いを防ぐことに繋がります。
経由地、目的地でそれぞれ標準時が異なる場合はその都度変更することをおおすすめします。
終わりに
国際線の乗り継ぎ情報はいかがでしたか?
乗り継ぎ航空券を購入する場合、主要目的地まで(あるいは帰国までの)時間はかかるけれども、直行便よりお得に購入できる航空券も多いです。乗り継ぎ地での楽しみ、観光も考えながら航空会社を選ぶのもお得な航空券の買い方と言えるでしょう。
▼お得な旅に出るための海外航空券情報はこちら
▼海外旅行をお探しの方はこちら