グルメの街、スペインバスク地方
美食家を魅了する世界で一番の場所は? そう聞かれたら、グルメな人ほどこう答えるかもしれません。
スペインのバスク地方以外、ありえないとーーー。
「世界のレストラン50」というランキングを、イギリスの「Restaurant」という、食の専門誌が毎年発表しています。
スペインのレストランは2016年版の10位内に、3軒ランクインしています。
その3つのスペインレストランのうち2軒、7位のムガリッツと10位のアサドール・エチバリはバスク地方のレストランです。
また、ミシュランガイドに選ばれたバスク地方のレストランは19軒。
うち4軒のレストランが3つ星です。
ミシュランの3つ星といえば「そのレストランへ行くために旅行する」レベルといっても過言ではありません。
すなわち、グルメ旅はスペイン旅行のメインテーマにもなりうる要素が詰まっているのです。
街中にある無名のバルも十分おいしい
スペイングルメの宝庫であるバスク地方は、イベリア半島の北の端、ビスケー湾沿いのフランスに最も近い地域を差します。
バスク地方におけるスペイングルメの魅力は、3つ星レストランが多いことだけではありません。
街中のなんてことのないバルに並ぶ、串刺されたおつまみ「ピンチョス」や、ミニチュアサイズの料理「コシーナ・エン・ミニアトゥーラ」もお店ごとに個性があり、驚くほど鮮烈な味覚に満ちています。
串刺しの「ピンチョス」やミニチュアの料理は、多種類のものを少しずつ食べてほしいという工夫から、バスクのバルから始まったといわれています。
また、「チャコリ」と呼ばれるバスク地方の白ワインは、香を際立たせるために高い位置から勢いよくグラスに注いでくれるのです。
ダイナミックなパフォーマンスも見ごたえがあります。
バスク地方
バスク地方の中心地、スペイングルメの都、バスク地方。
その中心都市であるビルバオは、かつて鉄鉱石が発見され、鉄鋼と造船の街として栄えました。
しかし、20世紀末には不況に襲われます。
不況から抜け出すためにとられた施策がユネスコの推進するプロジェクト「創造都市ネットワーク」に沿った都市再生でした。
ビルバオは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館の建設を中心としたアートによる町おこしに尽力しました。
ここは、建築のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞の受賞者の建築家フランク・O・ゲーリーが設計/デザインを手がけています。
また、ビルバオにはエッフェル塔設計者であるエッフェルの弟子、アルベルト・デ・パラシオが設計した世界最古の運搬橋などがあります。
そうした観光資源が認められ、ビルバオは観光都市として蘇ったのです。
スペイングルメの中心地、サン・セバスチャン
ミシュラン3つ星レストランが2軒もあるバスク第2の都市、サン・セバスチャン。この街もかつては不況にみまわれていました。
もともとサン・セバスチャンにはさしたる観光資源もなく、あるのは、グリーンスペイン(緑のスペイン)と自らを称するほどの豊かな農作物と、ビスケー湾の真珠と呼ばれるほどの美しいコンチャ湾のみ。そこで、食を文化とした観光資源の開発に取り組み、現在、世界一の美食の街となったのです。
そんなサン・セバスチャンが美食の街になった理由は次の3つです。
理由その①「山海の幸に恵まれ、特産物も豊富」
サン・セバスチャンは、海と豊かな大地に恵まれたスペイングルメの要。
海、山両方の豊富な食材が手に入るので様々なスペイングルメを楽しむことができます。
海の幸は、バカラオと呼ばれるタラを塩漬けにしたものを使った「バカラオ・アル・ピルピル」が代表的な料理。
ピルピルとはオリーブオイル・ニンニク・唐辛子を素材とともに加熱し素材からのうまみを凝縮した白いソースで、バスクの基本のソースといわれています。
そのほか、カタクチイワシやウナギの稚魚を素材とした料理も多くあり、肉料理ではゆったりと放牧された牛の炭火焼が有名です。
理由その②「シェフの間で師弟の垣根がない」
サン・セバスチャンをスペイングルメの最重要都市にしたのはシェフたちといっても過言ではないでしょう。
料理の世界は伝統的に、師弟制度のなかで門外不出の技を見て学び盗み、習得するといった慣習があります。それでは、伝統技術を学ぶだけで時間がかかってしまいます。
しかし、ここサン・セバスチャンでは、師弟の垣根を超えて料理法をオープンにし共有し教え合っています。
また、伝統的な料理も科学的に研究し、新たな料理法を開発しています。
有名なレストランには料理研究室が併設されているのも、美食が身近にある証拠です。
理由その③「美食文化が根づいている」
美食の地域を支える地元の人々の力も見逃せません。
サン・セバスチャンには「秘密の美食クラブ」が多く存在します。
この美食クラブとはひとことでいうと「スペイン紳士のグルメ部活動」のようなもの。
活動内容は、クラブの中心となるレストランやバルの厨房を借りてメンバー同士で料理を作り、ふるまい合います。
職業としてのシェフ以外の人でもおいしいものを作ったり、食べたりする文化が根づいているのです。
スペインへグルメな旅に出かけよう
地域全体がグルメな場所スペイン、バスク地方。
世界屈指のグルメ体験はスペインのバスクでしかできません。
では世界一のグルメな街、サン・セバスチャンへの行き方をご紹介しましょう。
成田空港から乗り継ぎ地を経由してスペインのマドリードかバルセロナへ。
マドリードか、バルセロナからは約1時間10分のスペイン国内のフライトでサン・セバスチャンに到着です。電車で向かう場合は、マドリードからは約7時間、バルセロナからは約6時間の旅になります。
ビルバオへはサン・セバスチャンからバスで約1時間30分ほどで到着します。
世界一のグルメ旅行をスペインで思いっきり楽しむためには、スペインでの滞在ホテルをサン・セバスチャンにしましょう。頼りになるのは現地スペインのオプショナルツアー。言葉に不安のある人は参加しておけば安心です。
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