近年、インターネット上やテレビ・雑誌などで「サステナブル」という言葉を目にする機会が増えています。
この記事では「サステナブル」に関連する事項やサステナブルツーリズムについて解説します。
「サステナブル」とは?「SDGs」とは?
技術の発達にともない産業活動が発展したことで、私たちの生活が豊かで便利になりました。この先も人口が増加していくことで、今まで以上に食糧やエネルギー、資源が必要となるでしょう。
しかしながら、食糧やモノを増やすための土地が広がり続けたことで自然が壊され、生態系も崩れていきました。また地球環境の悪化による影響で異常気象や自然災害などが増加しました。
限りある資源の枯渇や化石燃料の利用による環境破壊の懸念、労働問題や国際紛争による貧困差別などの問題も深刻化しています。
そのような環境を背景に「サステナブル」という概念がうまれました。
「サステナブル」と「SDGs」は、似たような意味をもつため混同されがちな言葉です。
1つずつみていきましょう。
「サステナブル(Sustainable)」
「サステナブル(Sustainable)」とは、「sustain=持続する」と「able=~できる」を組み合わせた言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味です。
サステナブルな社会とは、資源の節約や再利用、環境負荷の低減など地球環境に負荷をかけず、地域社会や労働者の権利の尊重など環境や社会に配慮した取り組みを行うことで、持続的に人や社会が豊かに暮らしていける社会のことです。
SDGs(Sustainable Development Goals)
一方、SDGs(Sustainable Development Goals)は、「誰一人取り残されない」サステナブルな社会を実現するために掲げられた、持続可能な開発目標です。
2015年にSDGsが国連総会で採択されました。
環境・社会・経済などの側面において具体的に17のゴールと169のターゲットを明確に設定し、2030年までに世界が抱える問題を統合的に解決しながら、持続可能でよりよい未来を築くことを目指していきます。
つまりサステナブルな社会を目指して世界中が「未来もずっと暮らし続けていける世の中」をつくることに取り組んでいます。
なぜサステナブルが注目されているのか?
昨今SDGsや地球環境に関することを、インターネットをはじめTVや書籍など、さまざまなメディアで目にする機会が増えました。
そして学校教育のカリキュラムとしても導入されていることも多く、身近なものとなりつつあります。
一方で地球温暖化や自然災害などを体感することも増えました。
他人ごとではなく、自分ごととして受け止める人が増えていくことで、ますます注目されています。
企業活動においても「環境保護」「経済開発」「社会開発」と3つの観点に基づく取り組みが重視されています。
またESG投資の市場拡大によりサステナブルがより重視されるようになりました。
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の単語の頭文字をつなげたものです。
環境や社会に配慮したて事業を行い、企業や組織が健全な運営を行うために必要な管理体制(ガバナンス)が、適切になされている会社に投資しようというのが「ESG投資」です。企業としても「ESG課題の解決」に応えるサービスの提供や環境を整えることができ、結果として企業価値の向上につながる可能性が高まると考えられます。
サステナブルという概念が普及し始めている今、企業にとっても環境や社会などを意識した経営戦略は必須となっています。
身の回りのサステナブルな取り組み
わたしたちの身の回りでもサステナブルな取り組みが広がっています。
日々の生活でもサステナブルやSDGsを意識している方も多いのではないでしょうか。
・サステナブルツーリズム
・サステナブルファッション
・サステナブルフード
・サステナブル住宅など
サステナブルツーリズムとは?
ここでは、サステナブルツーリズムについて解説します。
サステナブルツーリズムを直訳すると「持続可能な観光」という意味になります。
国連世界観光機関では”訪問客、産業、環境、受入地域の需要に適合しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光”(※2004年に国連世界観光機関(UN Tourism )により抜粋)と定義されています。
旅先となる地域の人々の文化や自然環境保全に配慮しつつ、観光業の活性化を両立させることです。
そのためには、旅行者のニーズを満たすことも必要となります。
サステナブルツーリズムと類似する用語として挙げられるのが、エコツーリズムです。
観光客が大自然、歴史、文化などを体験し学ぶことにより、地域創生や環境保護、持続可能性などの大切さや価値を体感し保全につなげていくのがエコツーリズムです。
いつもの旅を少しサステナブルに
旅行は「非日常を体験できる」「異文化を体験できる」「ご当地グルメを堪能できる」「人やモノとの出会い」など、さまざまな形で新たな発見につながり、刺激を与えてくれます。
また旅を通じて旅先の文化や歴史に興味・関心を持ち、人々にふれあい、課題などを知ることで、相互理解を深めていくことができます。
その輪が広がることで、平和につながる力となります。
一方で、旅行をすることによる課題を無視することはできないのも事実です。
地球のために二酸化炭素の排出量を削減する方法を考え、持続可能な産業として次の世代以降も旅を楽しめる環境を作り続け、旅のあり方や選び方を工夫し意識することが重要となっていきます。
移動手段を工夫してみる
実は、航空機は交通機関の中でも、輸送単位当たりの二酸化炭素の排出量が多い乗り物です。
そのため、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするという取り組み(カーボンニュートラル)を実現するための素材として注目を集めているのが、次世代の航空燃料「SAF(サフ)」です。
航空会社や路線によっては、一部の燃料をSAFに置き換えるなどの取り組みが行われています。
また、経由よりも直行便を利用する、燃費のいい機材を選択するなどの工夫もできます。
レンタカーではなく公共交通機関、レンタサイクルなどの自転車や徒歩で移動する時間を増やすことで、二酸化炭素排出の抑制につながるとともに、より地域との触れあいが増える旅になります。
サステナブルな取り組みを意識したホテルを選んでみる
サステナブルな取り組みをしている宿泊施設を選ぶことで、環境への負担軽減になります。
また、宿泊施設でのタオルやリネンの交換は、最小限になるよう心がけましょう。
水や洗剤、そして電力の削減につながります。
その土地ならではの食材やお土産を選んでみる
地産地消を実践することで、新鮮な食材を味わえるとともに、地元の農業、漁業をサポートすることにもつながります。
また地元で作られたものをお土産にすることで、地域の経済を支え、地域文化の継承に貢献できます。
食事の際には食べる量を調整することで食材の無駄や廃棄を減らし、ごみの削減や環境への負荷軽減につながります。
マイ〇〇を持参してみる
マイバック、マイボトル、マイ歯ブラシなどを旅に持参することで、使い捨てのモノを減らすとともに節約にもなります。
混雑時期を避けてみる
観光地において観光客が増加することにより、地元住民の生活や自然環境、そして観光客自身にも悪影響を及ぼす状況のことを指す「オーバーツーリズム」
具体的には「交通機関やトイレ等の公共機関・施設の混雑」「ごみの増加などによる自然環境の破壊」「居住地域が観光名所となることによる住環境被害」「混雑が原因で観光客の満足度が低下」など、観光客の大幅な増加が原因とされる問題が世界の各地で発生しています。
混雑期を避けることで、快適に旅行が楽しめるとともに、その地域の生活環境を守ることにもつながります。
自然体験や文化体験をプランにいれてみる
自然を体感するアクティビティや、そば打ち体験・陶芸体験など、その土地の伝統工芸や伝統芸能に触れる機会を設けることで、自然の保護の大切さに改めて気づかされたり、地域の文化継承につながります。
次の旅行では、サステナブルを意識したプランを取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
日常生活でもマイボトルやマイバックを持参したり、再利用したりなど工夫されている方も多いと思います。
日常から離れた旅先でも、ホテルでの取り組みや、サステナブルを意識した環境にふれることで、新たな気づきや考え方になることも。
一人一人のほんの少しの意識の積み重ねが、平和で持続可能な環境となり、次の世代以降も旅を楽しめる世界へとつながります。
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