はじめて、または久しぶりの海外旅行では、現地でのお土産選びも旅行の醍醐味のひとつ。
その国ならではの珍しいものや、日本では入手できないものなど、お土産として持ち帰りたいものは多々あると思います。
しかし中には、日常でよく目にする品々であっても、日本への持ち込みが制限されていたり、禁止されている物品があることをご存じでしょうか。
現地で購入したお土産が持ち込み禁止だった場合には、税関や検疫で没収され、せっかく旅の思い出までも台無しに。
この記事では、意外と知られていない「日本に持ち込めないもの」や「これもダメなの?」という落とし穴もご紹介します。
海外旅行へ出発の前にぜひお読みいただき、楽しい思い出で海外旅行を締めくくりましょう。
帰国時の手続きの流れ
まずは、空港に着いてからの大まかな流れを把握しましょう。
一般的に一連の流れをCIQ(C:Custom【税関】、I:Immigration【入国審査】、Q:Quarantine【検疫】)と呼びます。
入国審査以外にも様々な手続きがあるため、空港到着後の予定は時間に余裕をもって検討することが重要です。
1、降機して入国審査へ
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2、検疫(検温モニタリング)
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3、入国審査(パスポートを用意、「Visit Japan Web」アプリの場合には二次元コード)
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4、手荷物の受取り(預け荷物の半券で確認)
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5、動植物検疫(手荷物受取場にカウンターがあります。)
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6、税関手続き(パスポートと携帯品・別送品申告書を用意)
※「Visit Japan Web」アプリの場合にはパスポートと二次元コードを用意
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7、到着ロビー
※空港によっては2~5の手続きが前後する場合や省略されているもあります。
帰国時に気を付けたい、持ち込みに関すること
海外のお土産や、海外で購入した物品の日本への持ち込みについて、注意すべきは以下の3つです。
①日本への持ち込みが禁止されているもの
②日本への持ち込みに制限があるもの
③日本への持ち込み時に関税がかかるもの
①については文字通り、日本へ持ち込むことはできませんので、税関や検疫にて没収されます。
また内容によっては、罰金が科されたり処罰の対象となるケースも…
③に関しては、税関の窓口で書類の手続きを行い、所定の税金を支払うことで持ち込み可能となります。
では、どのようなものが上記に当てはまるのか、詳しく見ていきましょう。
帰国時に注意が必要なものとは
【肉類・肉製品】
実は、お土産や個人消費用の畜産物は検査証明書の取得が難しいため、肉製品や動物由来製品のほとんどは、日本へ持ち込むことができません。
これは生の肉だけでなく、冷蔵、冷凍、加熱調理済みの加工品も対象です。
具体的な例では、ジャーキー、ハム、ソーセージ、ベーコン、肉まんなど、肉ではなくとも卵も含まれます。
これらはすべて「動物検疫の対象」となっており、購入した国や地域の政府機関が発行する検査証明書のないものは日本への持ち込みができません。
例えば、アメリカ土産で目にするビーフジャーキーなどの牛肉加工製品や、韓国で買った真空パックされた焼肉用の牛カルビ、台湾で買ってきた肉まんなど。
これらすべて、その多くは検査証明書がないため、空港の土産物店で購入した場合でも、日本には持ち込むことができません。
意外と落とし穴になりがちなのが「カップ麺」や「インスタントラーメンなどの袋麺」!
中の具材に肉が含まれている場合など、持ち込み禁止となる場合も。
現地での食費節約の為に自宅から持参したものの、食べずに持ち帰った場合でも検疫の対象となります。
また、家畜の病気(口蹄疫や鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱など)の発生状況などにより、日本への持ち込みができない国・地域もあります。
●対象品目の詳細や証明書についてなど、詳しくはこちらでご確認を。
【乳製品】
2017年11月1日から、これまで動物検疫の対象であった「生乳」に加え、乳製品についても「動物検疫の対象」となりました。
具体的には、ミルク(乳等命令※で定める「常温保存可能品」を除く)、生クリームのほか、バターおよびバターミルク(乳等命令※で定める発酵乳(ヨーグルト等)、乳酸菌飲料を除く)、そしてチーズ(プロセスチーズを除く)も対象となっています。
ただし、以下に該当するものを除きます。
- 携帯品(別送品を含む)として日本に持ち込み(輸入)するもの
- 缶詰・瓶詰・レトルト加工品(いずれも加熱滅菌されているものに限る)
- 乳等命令※で定める常温保存可能品
- 販売又は営業上使用することを目的としていない10kg以下のもの(飼料用のものを除く。)
個人のお土産程度であれば、対象とはならないようですが、数が多い場合や特殊な乳製品など、判断に迷う場合には動物検疫にお尋ねください。
※乳等命令=乳及び乳製品の成分規格等に関する命令
●対象品目の詳細や証明書についてなど、詳しくはこちらでご確認を。
【フルーツ類】
海外から日本に果物(フルーツ類)や野菜を持ち込む場合、持ち出す国や地域・野菜や果物の種類によっては 、持ち込みが禁止または制限されている場合があります。
海外の免税売店などで、お土産として販売しているものであっても、「植物検疫の対象」となっており、輸入禁止品に該当する場合があるので注意が必要です。
例えば、ハワイで購入したフルーツをお土産に持ち帰りたい場合
「オレンジ等のかんきつ類、バナナ、パパイヤ、マンゴー」などは持ち込めません。
「パインアップル、ココヤシ」は検査証明書及び入国時に検査が必要です。
また、現地でプレゼントされたレイやブーケについても、検査が必要な場合や持ち込めない場合があるので、植物防疫所にお問い合わせください。
●対象品目の詳細や証明書についてなど、詳しくはこちらでご確認を。
【ナッツ類】
お土産のお菓子でよく目にするマカダミアナッツも、チョコレートコーティングされたお菓子を除いて、ナッツそのものや殻付きの生のものについては入国時の検査が必要です。
マカダミアナッツに限らず、クルミや落花生など、殻付きのものや生のものなど、同様に「植物検疫の対象」となっています。
※ローストしたものは検疫を受けなくても持ち込み可能なものがあります。
●対象品目の詳細や証明書についてなど、詳しくはこちらでご確認を。
【化粧品・漢方薬】
最近では日本未発売の化粧品やコスメ、美容クリームなどを韓国などで購入するケースや、中国や台湾などで漢方薬を購入するケースも増えてきました。
化粧品の日本への持ち込みは個人使用に限り「1品目24個」までに制限されています。
また、ハンドクリームや肌用の化粧品で、アロエなど一部成分を含む化粧品は持ち込めない場合があります。
※アロエベラの場合は規制の対象外です。
これは漢方薬や韓方薬にも当てはまり、中にはワシントン条約により日本に持ち帰れないものもあります。
●対象品目の詳細や証明書についてなど、詳しくはこちらでご確認を。
【ブランド品・貴金属類】
海外旅行の醍醐味として、憧れのブランド品などを免税価格で購入できることもあるでしょう。
しかし、海外市価の合計額が20万円を超える場合には、20万円以内におさまる品物が免税になり、その残りの品物は課税対象となります。
また、1個で20万円を超える品物は、その全額について課税されます。
ここで落とし穴となるのが、購入したブランド品が偽物やコピー商品、模倣品であった場合。
知ってて購入した場合だけでなく、知らなかった(騙された)場合であっても、持ち込み禁止品にて税関で没収となります。
当然ながら支払った金額は戻りません。
●免税範囲など、詳しくはこちらでご確認を。
【その他】
上記以外にも、法令違反となる物品、日本国内での所持が禁じられているものについては持ち込みできません。
(一例)
- 薬事法や麻薬取締法による禁止薬物
(海外では一部合法となっている国もありますが、日本では違法) - 火薬・爆発物(娯楽用の花火も禁止です)
- 武器や兵器・銃・刀剣
- アダルトグッズ、わいせつ雑誌・DVD・ビデオなど
- ワシントン条約で禁止された動植物
(はく製、これらの毛皮・革・骨などを使用した加工品、漢方薬なども規制対象)
もし知らずに購入して、持って帰ってきてしまった場合には、
到着した空港や港の税関、もしくは税関検査場内に設置されている動植物検疫カウンターへ申し出て、係員の指示に従いましょう。
また、現地の空港の売店で買ったカットフルーツや機内食の残りの肉製品などを、うっかり持ち込んでしまった場合には、入国審査場前や手荷物検査場内に設置された自主廃棄用のボックスに入れてください。
まとめ
この記事では、海外から帰国時の日本持ち込みに関する情報を紹介しました。
意外なものが、検疫の対象となっていて、お土産であっても日本には持ち込めないケースがあることがお分かりいただけたかと思います。
昨今はCIQでの保安検査を強化していることもあり、夏休みや年末年始など海外渡航者が増える時期、外国からの観光客が多い時期には、手続きや検査に長時間を要する可能性があります。
税関や検疫検査で想定外に時間が掛かって、予定していた列車や空港バスなどに乗り遅れてしまうことも…
そのため、国際線を利用する際には渡航先に関わらず、お土産など、せっかく購入したものなどが没収されないよう、事前に確認し、時間と気持ちに余裕をもってCIQを通過するようにしましょう。
旅行前に事前に確認するには
動植物検疫や農林水産省の公式ホームページには、FAQ形式のわかりやすい案内があります。
ご旅行の予定が決まっている方、海外で買う予定のお土産がある方など、ぜひご確認を!
機内持ち込み手荷物規定もあわせてしっかり確認する
渡航先や、航空会社によっても飛行機への機内持ち込み規定が異なります。
日本の検疫等には引っかからなくても、帰国時には持ち帰れないなんてことも。
機内持ち込みは不可でも、預け荷物であれば可能な場合もあります。
事前に準備することで、没収されたり、廃棄されたり悲しい気持ちにならずにすみます。
高額なもの、大切なものだけでも確認しておくと安心です。
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