自然と歴史的建造物が調和したロワール地方
フランス中西部、ロワール川の流域に広がるロワール地方は、シャルル7世がシノン城(ジャンヌ・ダルクが訪れた居城)に宮廷を移した15世紀初めから約160年の間、フランスの政治・文化の中心地として栄えた場所です。
シャルル7世はイギリスとの100年戦争に勝利した第5代フランス国王ですが、彼を筆頭に多くの王侯貴族たちが次々とこの地に城を建て、絢爛豪華な暮らしを繰り広げたと言われています。
やがてフランスの政治の拠点はパリ郊外へ移ります。
そしてシュノンソー城やシャンボール城などの古城をはじめ、要塞や聖堂など中世の歴史的建造物が多数残るロワール川流域は、フランスの中でも世界中から旅行者が訪れる人気観光スポットとして知られるようになっていきました。
フレンチ・ルネサンスを代表する建築や庭園が集中していることから「フランスの庭」とも呼ばれ、2000年にロワール河流域の800kmに渡る一帯は世界遺産として登録されています。
パリから一路ロワール地方へ
日本からロワール地方を訪れるなら、まずはパリを目指し、パリから電車やバス、タクシーなどの交通機関を利用して行くのが一般的です。
羽田空港からパリへは、直行便なら約14時間。
パリからロワール地方へは、お目当てのお城や交通の状況などにもよってまちまちですが、うまく乗り継げれば2~3時間程度で到着します。
お城の多くはロワールの豊かな自然の中に囲まれており、決してアクセスがいいとは言えません。
電車やバスを使うと、迷ったり待ち時間が発生するなどして、思った以上に時間をとられる場合もあるでしょう。
最も手軽でスムーズにたどり着きたいなら、ロワールの目玉スポットを効率的に回れる古城巡りのオプショナルツアーを申し込みましょう。
オプショナルツアーならパリのホテルを拠点に、日帰りでロワール観光を楽しむことが可能です。
優美な「6人の女性城主の城」シュノンソー城
シュノンソー城は、「シェール県の母なる川」として知られるシェール川をまたぐように建てられた白い城館です。
フランソワ1世の次男、アンリ2世が、愛妾であるディアーヌ・ド・ポワティエに贈り、アンリ2世の死後は正妻であるカトリーヌ・ド・メディシスの手に渡ります。
その後も女性城主ばかりに相続されたことから、シュノンソー城は「6人の奥方の城」という別名で呼ばれることも。
その呼び名にふさわしい、全体から高貴な女性の気品が立ち昇るような芸術的なお城です。
特にシェール川にかけられた橋の上のギャラリー(回廊)が川の水面に映る景観は、ため息が出るほどの美しさです。
城内に展示された見事な美術品や、木々や色とりどりのバラの花が美しい2つのフランス式庭園、カトリーヌの庭園とディアーヌの庭園もシュノンソー城の見どころです。
最大規模のシャンボール城は必見
もう一方のシャンボール城は、16世紀初頭に9代目の国王フランソワ1世が狩猟のために建設した城で、ロワール川流域最大の規模を誇ります。
建設当時はルネッサンスの絶頂期にて、建築様式や装飾は力のこもった豪華な仕上がりになっています。
最大の見どころは城の中心にある、人がすれ違うことなく上り下りできる二重の螺旋(らせん)階段です。
この階段をはじめ、設計にはイタリア・ルネサンス最盛期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが力を貸したとも言われています。
敷地内には鹿や猪など野生の動物たちが住む広大な森もあり、自然と高度な文化が融け込んだロワールらしい雰囲気の中で、のんびりと散歩を楽しむことができます。
クロ・リュセ城では、ダ・ヴィンチの芸術世界を体感
シュノンソー城とシャンボール城以外にもう一カ所、ロワールでお城を訪ねるなら「アンボワーズ城」と、隣接する「クロ・リュセ城」もオススメスポットです。
これらの城はもともと要塞でしたが、シャルル8世とフランソワ1世の頃に改装されて王たちの住まいとなりました。
2人の王は、ヨーロッパで活躍していた知識人や芸術家をアンボワーズ城に招いたと言われているのですが、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも招かれた一人。
最晩年をこの地で過ごしたレオナルド・ダ・ヴィンチは、アンボワーズ城の敷地内のチャペルにある墓に眠っています。
ここまで来たら、アンボワーズ城からわずか400mほどの場所にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ最期の住まい、クロ・リュセ城にも、ぜひ足を伸ばしましょう。
クロ・リュセ城の庭園は、自然の中でレオナルド・ダ・ヴィンチの発明品や創作物に触れられるユニークなテーマパークになっています。
見て楽しいだけでなく、世紀の天才として知られるレオナルド・ダ・ヴィンチの暮らしぶりや才能の源をうかがい知ることができる貴重なスポットです。
ロワールの古城でフランスの文化と歴史に思いを馳せ…
造りが豪華なことはロワールのどのお城にも共通していますが、それぞれのお城の建築や佇まいに個性があり、城主たちの想いや人生のストーリーを静かに物語っているところに、フランスの文化の豊かさ、奥深さを感じます。
あなたはどの古城に心を掴まれるでしょうか?
- 住所:37150 Chenonceaux, France
- アクセス:下記参照
ロワール地方への行き方
- パリおよびシャルル・ド・ゴール空港からのアクセス
- 高速道路A10(ブロワまたはアンボワーズ出口経由)で約2時間
- パリ・モンパルナス駅(Paris Montparnasse)からTGV(高速鉄道)にて、
サン・ピエール・デ・コール駅(Saint-Pierre-des-Corps (Tours))まで約1時間
TER(普通列車)に乗り換えてブロワ(Blois)まで約30分 - シャルル・ド・ゴール空港駅(Paris CDG Airport)からTGV(高速鉄道)にて、
サン・ピエール・デ・コール駅(Saint-Pierre-des-Corps (Tours))まで約2時間
TER(普通列車)に乗り換えてブロワ(Blois)まで約30分
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