
その自然の芸術とも言える景観美は訪れる人々を魅了し、実際に眺めると壮大さに感動のため息が出てしまうほど。
この記事ではノルウェーのフィヨルドを絶景列車、クルーズ船を利用した周遊コースや、5大フィヨルドの特徴についてご紹介します。
フィヨルドとは?
スカンジナビア半島の西側に位置し、南北に細長く、ノルウェー海と北海に面するノルウェー。
雄大な自然と、冬になると北部では幻想的なオーロラが出現することでも知られています。
そのノルウェーの海岸線はフィヨルドと呼ばれる氷河で削られた複雑な地形が特徴的で、ノルウェーの象徴とも言える景観です。
そもそも「フィヨルド(fjord)」とは、ノルウェー語で「入り江」を意味する言葉で、峡湾(きょうわん)とも言い、断崖絶壁に囲まれた湾や入り江です。
フィヨルド地方と呼ばれるノルウェーの西部海岸線を地図で見ると、あまりに複雑な地形で驚くほど。
その全長は2万kmを超え、海抜1,000mを超える切り立った崖の連なりや、水深1,000mを超える箇所など、まさに地球規模の自然を実感できる場所です。
フィヨルドは、悠久の昔から続く自然の営みが作り出した芸術
フィヨルドはそれこそ無数にありますが、なかでも代表的なのは「ガイランゲルフィヨルド(Geirangerfjord)」「ノールフィヨルド(Nordfjord)」「ソグネフィヨルド(Sognefjorden)」「ハダンゲルフィヨルド(Hardangerfjorden)」「リーセフィヨルド(Lysefjorden)」の5つ。
これらは5大フィヨルドと呼ばれています。
遥か昔、約100万年前の氷河期に、気候変動で溶けだした氷河による浸食によって、谷底がU字やV字型に削られ、そこに海水が進入して形成された自然の産物。
悠久の昔から続く自然の営みが作り出した芸術・フィヨルドは、「北欧の神秘」と呼ばれるほど、幻想的な景観美です。
▼フィヨルド観光は絶景列車、クルーズが組み込まれた添乗員同行の旅で効率よく巡るのがおすすめ!
フィヨルド観光の拠点は?
とくに人気の5大フィヨルド。
それぞれのフィヨルドへアクセスしやすい観光拠点となる都市があります。
観光客におすすめな宿泊施設のほか、交通機関のアクセスポイントやフィヨルドツアーの出発地点になっています。
【ノールフィヨルド(Nordfjord)】:ベルゲン(Bergen)、オーレスン(Alesund)
【ソグネフィヨルド(Sognefjorden)】:ベルゲン(Bergen)、フロム(Flåm)、オスロ(Oslo)
【ハダンゲルフィヨルド(Hardangerfjorden)】:ベルゲン(Bergen)、ヴォス(Vossevangen)
【リーセフィヨルド(Lysefjorden)】:スタヴァンゲル(Stavanger)
なかでもベルゲンは観光スポットが多いことでも人気。
ベルゲンのおすすめスポットを見てみましょう。
観光スポットとしても人気、フィヨルド観光の拠点「ベルゲン」
北欧ノルウェーの首都・オスロから西へ約460kmに位置するベルゲン(Bergen)は、ノルウェーで2番目に人口の多い街です。
フィヨルドに囲まれ、海岸線のすぐそばまで迫る山肌とわずかな平地に建物が密集しています。
フィヨルド観光の拠点でもあるベルゲンを観光するなら、おすすめしたいのが色彩豊かな木造倉庫群が並ぶブリッゲン地区(Bryggen)と、ベルゲンの街並みを一望できるフロイエン山(Fløyen)。
また、ベルゲンは「北欧の絶景鉄道」との呼び声も高い「ベルゲン線(Bergensbanen)」の終着地点でもあり、ソグネフィヨルド観光の玄関口でもあります。
世界遺産「ブリッゲンの街並み」

駅から港までは徒歩20分と比較的近い距離なので、ぶらりと歩きながらさまざまな観光を十分に楽しめます。
なかでも世界文化遺産に指定されているブリッゲン(Bryggen)地区旧市街に残る古い木造倉庫群の街並みは必見!
港に面して、とんがり屋根のカラフルな木造倉庫が規則正しく並ぶ、絵画や写真でもよく見かけるスポットです。
まるでおとぎの国のような街並みは、雪と氷をテーマにしたプリンセス映画に登場する港町のモデルとも言われています。
ここは14世紀から16世紀にかけて、ドイツのハンザ商人(北海やバルト海沿岸で貿易を行っていた経済同盟)の事務所や住居として利用されていた場所で、建物はすべて木造建築です。
そのため、これまで何度も火災に遭っていますが、その度に修復され当時の姿を今に伝えています。

建物と建物の間に入ると、狭い路地がずっと奥まで続き、まるで迷路のよう。
現在は、その建物にレストランや土産物店、アーティストの工房などが入り、路地にお店が並ぶ、そぞろ歩きが楽しいスポットになっています。
ベルゲンの街をフロイエン山から眺める

ベルゲンの観光で絶対に訪れておきたい標高320mのフロイエン山(Fløyen)です。
「魚市場」や「ハンザ博物館」の近くにあるケーブルカー乗り場から、片道5~8分くらいで簡単に山頂までアクセスできます。
ケーブルカー乗り場の脇からは登山道も整備されていますので、時間に余裕がある人はハイキング気分で登山するのもおすすめ。
低山なので歩いて登るのもそれほどつらくはありません。
山頂エリアには土産物店やカフェなどの施設があり、景色を眺めながらゆっくり過ごせます。
展望台もあり、眼前にはベルゲンの港町とフィヨルドの地形の眺望が!
まさに北欧の旅を実感できる情景です。
「ベルゲン鉄道」から望む景観は、北欧屈指の美しさ

このベルゲン線を通り、オスロからベルゲンまでの500km近い距離を最短約7時間で走破する列車は、北欧ならではの景色の中を走る「絶景鉄道」として世界でも人気のルートです。
列車にはとくに名前は付いていませんが、一般的に「ベルゲン鉄道」や「ベルゲン急行」と呼ばれています。
車窓から眺む雄大なノルウェーの森、迫りくるような山々に深い谷、荒涼とした景色や、はるか彼方に延びる氷河や湖など、変化に富んだノルウェーの大自然に魅了されること間違いありません。
また、沿線の180を超えるトンネルには、標高1,237mの高所を通過する箇所もあり、ベルゲン鉄道は、北欧の主要な鉄道の中で最も標高の高い地点を通る鉄道となっています。
ベルゲン鉄道の車内は明るい雰囲気で、通常座席のほか、より快適に過ごせる「プラス座席(コンフォート)」があります。
食堂車を連結しているので、お腹が空いたら軽食を購入することもでき、車内ではWi-Fiも利用できるので便利です。
また、子どもが遊べるプレイエリアを備えた「ファミリーカー」もあり、小さな子ども連れの旅でも安心ですね。
オスロからベルゲンまで約7時間というのはちょっとした長旅ですが、景色の変化を眺めているだけでも退屈することはないでしょう。
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ノルウェーの旅、メインはやはりフィヨルド巡り!鉄道・クルーズ船で絶景を満喫

ノルウェーのフィヨルド観光は鉄道、クルーズ船を使って移動しながら景色を満喫できるのが醍醐味です。
とくに5大フィヨルドの中でも「ソグネフィヨルド」と「ハダンゲルフィヨルド」はベルゲンの街からアクセスしやすく、交通機関ごとに異なる趣が味わえます。
世界で最も美しい鉄道の旅「フロム鉄道」

急勾配を力強く上っていく迫力ある走りと、その後に出会える景色は感動もの。

1時間弱の乗車でも、壮大なるフィヨルドの眺め、険しい山々と深い緑の森林、冬は雪景色と、ノルウェーの大自然の美しさを満喫できる「世界で最高の鉄道旅」と称賛されるほど。
フロム駅の近くにはフロム鉄道博物館やカフェ、グドヴァンゲン(Gudvangen)行きのクルーズ船発着所もあります。
また、バスでさらにひと足延ばせば、世界的にも貴重な遺産「ボルグン・スターヴ教会(Borgund Stave Church)」に行くこともできます。

一生に一度は見てみたい「ソグネフィヨルド」「ネーロイフィヨルド」はクルーズ船で

5大フィヨルドの中でも人気が高く、唯一通年で観光ができる「ソグネフィヨルド(Sognefjorden)」。
その長さは204km、水深は最深部で1,308mと世界最大規模を誇っています。
内陸に向かうほど細く枝分かれし、先端の「ネーロイフィヨルド(Nærøyfjord)」は世界自然遺産(※)に登録されています。
※登録名:西ノルウェーフィヨルド群-ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルド

横幅の最も狭いところでは約250mしかなく、世界一狭いフィヨルドと言われるほど。
その両岸には断崖絶壁が聳え、クルーズ船で左右に断崖が迫る圧巻のスケールを体感できます。

周囲を高さ1,000mを超える山々に囲まれているネーロイフィヨルドでは、その山からいくつもの滝が流れ落ち、自然景観に変化をもたらしています。
船上で澄んだ空気を感じながら、雄大な自然の芸術を存分に堪能してみてはいかがでしょうか。
のどかな風景が魅力「ハダンゲルフィヨルド」

拠点の村として、ノルウェーでもとくに美しいと言われるノールハイムスン村(Norheimsund)があり、ここではスタインダールの滝(Steindalsfossen)が有名です。

神秘的な美しさ「ガイランゲルフィヨルド」

ガイランゲルフィヨルドの観光でおすすめなのがヘルシルト(Hellesylt)からガイランゲル村(Geiranger)までを結ぶクルーズです。
断崖の合間を流れる深く青い海と周辺の手つかずの自然が織りなす神秘的な景観が特徴的。
クルーズ船から眺める息を呑むような美しい景観は感動的な体験になるでしょう。


▼ハダンゲルフィヨルド、ガイランゲルフィヨルドをメインに雄大な滝を巡る周遊券もあります。
ハイキングなどアクティブに過ごすなら「ノールフィヨルド」

そのため氷河ウォークやハイキングなどのアクティビティが人気です。

ノールフィヨルドの内陸部にはローエン (Loen) やオールデン (Olden) といった観光地もあります。
ローエンは小さな街ですが、フィヨルドを一望できるスカイリフト(ケーブルカー)があり、絶景の空中散歩を楽しめます。
また、スカイリフト以外にハイキングコースもあります。
ソグネフィヨルドやガイランゲルフィヨルドに比べると比較的観光客が少なく、雄大なフィヨルドを落ち着いて満喫したい方にはおすすめです。
「光のフィヨルド」を意味する美しさ「リーセフィヨルド」

リーセフィヨルドは「光のフィヨルド」を意味しています。
周囲が花崗岩の岩盤に囲われていることから水が美しく、その水面に光が反射して輝くことが由来と言われています。
リーセフィヨルドと言えば両岸に1,000mを超える絶壁がほぼ垂直に聳え立っている景観が特徴。
そのリーセフィヨルドを代表する観光スポットが「プレーケストーレン(Preikestolen)」。

もちろん降り立つことが出来、柵なども無く、フィヨルドを上から眺めるスリル満点の絶景を楽しめます。
終わりに
憧れの北欧・ノルウェーの旅と言えば、やはりぜひ体験してみたいのがフィヨルド観光。
写真や映像で見るのと、実際に現地で観るのとでは圧倒的な違いがあり、生のフィヨルドの迫力や美しさは一生ものの記憶として心に刻まれることでしょう。
観光客から人気が高い「ソグネフィヨルド」や「ハダンゲルフィヨルド」は比較的アクセスしやすく、フィヨルド観光に利用する絶景鉄道、クルーズ船といった交通手段それぞれに楽しみや見どころがあるのもポイントです。
もちろん、「ソグネフィヨルド」や「ハダンゲルフィヨルド」以外にもそれぞれ魅力があるフィヨルド巡りもおすすめ。
フィヨルド観光は、規模が大きいだけに移動距離も必然的に長くなります。
個人旅行で不安という方には、絶景鉄道とクルーズ船をつないで観光できる添乗員同行ツアーや現地発着のオプショナルツアーがおすすめです。
ノルウェーでの、フィヨルドビューを心ゆくまで堪能してみてください。
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