グアムは、長くスペイン領であった歴史とアメリカの支配下に置かれていたことから、双方の文化が混在しているところが特徴です。そのため、アメリカの領内でありながらスペイン統治下時代の色を濃く残した名所も点在しています。
特に、スペイン時代からグアムの中心地として栄え、現在も首都として機能するハガニアには、ヨーロッパの風を感じられる場所が多く残っています。その当時の名残を残すスペイン広場は現在でも島内の行政を取り仕切る機関が多く集中する場所でもあります。
そのスペイン広場にほど近く、美しい佇まいで南国とは思えない空気感を醸し出すハガニア大聖堂バシリカ（聖母マリア大聖堂）は、真っ白で瀟洒な建物が突き抜ける青空に映えるグアム有数の観光地です。ヨーロッパの香り漂うステンドグラスの大聖堂と植栽であるヤシの木のバランスは、グアム独特の風景ともいえます。荘厳な雰囲気の中にも開放的な空気を漂わせた風景は、この島に降り立ったら1度は訪れたい名所として高い人気を誇るスポットです。
1669年にグアムに初めて建立された教会であり、その後何度か改装されているものの、カトリック教会として非常に深い歴史を持っています。敬虔なカトリックが多い地元住民に愛される大聖堂で、憩いの場としてもよく利用されています。

周囲を海に囲まれた島であるグアムには、眼下に広がる青い水平線を望むことができるポイントはたくさんあります。中でも島内随一と言われる観光スポットが恋人岬です。
タモン湾の端に位置する恋人岬は、海抜122mの高さに展望台があり、タモン湾を彩る優美な海岸線にとどまらず、島北部の山地までを望むことができる名所です。広大な青い海や夕暮れに赤く染まった風景は、グアムに来たならぜひ目にとどめておきたい美しさです。
この恋人岬には古い伝説があります。スペイン貴族と地元のチャモロ人との間に生まれた娘が、親の策略で時のスペイン提督に嫁がせられそうになり、逃げた先でチャモロの青年に惹かれます。そしてタモン湾にそびえる岬での逢引きに娘の父親がスペイン軍を率いて訪れ、若い2人を追い詰めました。結果、娘と青年はお互いの髪を固く結び、そのまま海の淵へ落ちて行ったと言われています。
この悲恋の伝説から恋人岬、スペイン語でプンタンドスアマンテスと呼ばれるようになりました。この伝説は若い男女が永遠の愛を誓った場所として語り継がれており、現在でも大切な人と訪れる観光客が後を絶ちません。
展望台だけではなく、周囲も緑鮮やかな公園として綺麗に整備されており、グアムの自然をたっぷりと感じられるランドマークです。

首都ハガニアの街で、昔ながらのチャモログルメや工芸品といったお土産ものなどを多く販売しているチャモロビレッジがあります。スペインの香りを漂わせる赤い屋根と白い壁のコントラストが印象的な街並みが広がる一帯を指し、異国情緒と南国のフランクさが同居する雰囲気を堪能できます。
昼間に食べ歩きやお土産を買い歩くのも楽しいですが、特に毎週水曜日に開催されるナイトマーケットは、グアムのコアな文化や雰囲気を存分に堪能できるイベントです。本場チャモロ料理が数々並ぶ屋台が続き、昼間の瀟洒な雰囲気とはがらりと変わって雑然とした中で島の魅力を味わうことができます。
食べ物だけではなくスムージーやココナッツドリンクといったトロピカルドリンクを片手に散策すれば、南国の解放感に浸ることができます。また、数々並ぶ屋台には地元の工芸品や地元のアーティストの作品、トロピカルなワンピースや雑貨などもたくさんあり、しかも1点5ドルほどで購入できるためお土産にもぴったりです。
このナイトマーケットでは、生のバンド演奏や伝統の踊りを楽しむこともでき、さながらお祭り気分を楽しめます。島の人々の活気と力強さあふれるマーケットはグアムの空気感をたっぷり吸いこむことができ、地元の方も観光客も一緒になってグアムの夜のひとときを共有できます。

日本から飛行機で、わずか3時間30分 “日本に最も近いアメリカ”ことグアム。1年の平均気温が27度。季節を問わずに泳げるグアムに来たのなら、ビーチに寄らねば損というもの。王道はリゾートホテル、レストランなどが建ち並び“グアムのワイキキ”とも称されるタモン・ビーチ。グアムの西海岸にあるタモン湾に面するビーチの総称で、総距離にして約2km。
タモン・ビーチの中で最もにぎわうのは、「ハイアットリージェンシーグアム」、「アウトリガー・グアム・リゾート」の両ホテルの間に位置するビーチ。繁華街も近く、人の波が絶えません。反対に、穴場といえるのがタモン湾のほぼ中心部に位置するマタパン・ビーチ。前述のビーチに比べ日本人観光客は少なく、併設してある公園ではバーベキューも楽しめ、公園の隣には動物園もあります。美しいサンセットが眺められる場所としても知られます。
その中に、日本にもゆかりのあるビーチが存在します。北端に旧日本軍の大砲がいまも残っている、その名もガン・ビーチ。名称自体が大砲からつけられた……とはいえ物騒ではないどころか、海は透明で美しく、中で熱帯魚にも出会えます。大砲が醸し出す歴史の重みと、争いの香りのない美しい海を同時に堪能できる貴重なスポットと言えます。
タモンでいうと、タモン・サンズ・プラザにも足を運びたいもの。2階建てのショッピングモールで、中にはルイ・ヴィトン、グッチ、ティファニー……といった世界の名だたるブランドが軒を連ねます。日本未輸入品も多数あるため、掘り出しものに出会えるかも。格式の高さが伺える白亜の建物で、カフェやレストランも存在するので楽しみ方は買い物だけに限りません。
ブランド品のショッピングでこちらも見逃せないのが、やはりタモンのDFSギャラリアグアム。エルメス、シャネル、フェラガモといった一流ブランドを厳選したショッピングセンター。ブランド品が免税価格で手に入るだけでなく、雑貨やチョコレート、クッキーなどお土産を買うのにも適した場所となっています。
タモンの南に位置するタムニングは、タモンに比べれば閑静ながら、観光施設やアウトレットモールなど、練り歩くには申し分ない地域。タモンからタムニンに向かうロータリーの中央にあるフローレス大司教の銅像は、1987年に建てられ、観光においては記念撮影のスポットとしても知られます。そしてタムニングで寄るならグアム最大のアウトレットモール、グアム・プレミア・アウトレットは欠かせません。ショップ、フードコート、映画館など施設が充実し、価格もやさしめ。地元住民にはGPOの愛称で親しまれています。お得なカジュアル品を楽しみながら入手できるでしょう。
タムニングからさらに南に下ると、グアムの歴史を堪能できる街・ハガニアに着きます。ラッテ・ストーン公園にはグアムに根付くチャモロ文化の足跡が残っています。上部が半円形になっている不思議な古代遺跡・ラッテ・ストーンが建ち並ぶ小さな公園で、眺めながらチャモロ人の生活に想いを馳せるのもよさそうです。
他、スペイン統治下時代の建物が点在するスペイン広場、自由の女神像（ニューヨークの物を10分の1サイズにしたレプリカ）など、繁華街の華やかさとは別の趣がハガニアにはあります。